家族が認知症になるということ
介護保険が始まり、アルツハイマーと診断された方を介護支援専門員として担当することになった。訪問すると家族は、「さっき言ったじゃないの!」「何言ってんだよ!」「どうしてわからないんだよ!」等々、怒号に近い叫び声を目の当たりにしたことを覚えている。それに対してどう対処してよいのか思い悩んだ。認知症の方の経験値はあるつもりだった。施設で十分というほど対応してきた。がんばって本も読んでみた。結果、家族に「混乱しているのは本人自身なので、怒るのはやめましょう。」「本人が一番辛いのですから・・・。」等々話し家族の話を聞くのが精一杯だった。家族は幸い暴力にまで至ることはなかった。でも、施設と家、職員と家族は違う。施設は24時間いろいろな人が介護する。そして、時間になったら職員は家に帰る。家族は、24時間介護する。逃げ場はない。自分の母が認知症になった時、初めて家族の気持ちがわかったような気がした。この、切なさ、疲労感、どこまで続くのだろうかという不安感・・・。担当していた家族は、1年後上手に認知症と付き合っていた。そこに至る過程は大変だったと思う。上手に付き合うといっても、楽になったわけではない。大変なことは変わりない。耐性がついたとでも言おうか。私は、どんな高尚な認知症の方への対応が講義や本や様々な啓発があったとしても、家族で認知症の方を受け入れるには段階があると思う。初めは、怒ったり、感情的になることもあるでしょう。これは、ありだと思います。その家庭を専門職ぶって、指導しないほうが良い。家族のストレスは予想以上に高い。また、その混乱した段階を踏むべきとも思う。そんな段階もふまず、すぐに施設を薦めたり、家庭的だとグループホームを薦めたりするべきではない。安易な施設誘導は、家族の介護未消化を生み、施設入居を推し進めるだけではないだろうか。まずは、家族と一緒に在宅でいかに本人を支えていくか、そして、いかに家族の負担を軽減するか考えるべきである。そして、もっとかゆいところに手の届くサービスが在宅には必要だし、プロが必要だと思う。そうそう、あと認知症がわかる医者。わかるだけではなく人間としてコミュニケーションができる医者が必要だ。
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